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「スカラーシップ」

昨年、帰天された初代学長バリー先生を偲ぶ会の際に、卒業生や教職員の皆さんから「バリー先生のために使ってほしい」と短大ソフィア会に寄付をいただいた。そして、「バリー先生は短大の学生の励みになるように使われることをお喜びになるだろう」ということで、ジェラルド・バリー賞が創設され、今年、2015年の卒業生から授与されることになった。先生のことを知らない世代にも、先生の「学生を愛し、育て」てくださった思いが通じることを願って。

第一回目の今回は、短大側からの意向に沿って、総代の学生の受賞ということに決まった。ちらっとご紹介すると・・・・。

彼女は英語科学生として成績トップというだけでなく、課外でも英語を使うサークルで活躍、サービスラーニング活動にも積極的に参加、他学生の模範となる優れた学生ということで、バリー賞受賞となったそうです。ちなみに所属ゼミは、Melvin Andrade 教授のゼミ。

今後、彼女はこの賞を履歴書にも記載できるとのこと。頑張った学生に与えられること、それを目指してさらに頑張る学生が増えるであろうこと、それを天国のバリー先生がお喜びになっているのではと、嬉しく思う方もいっぱいいるはず。

ほかにも短大には、学外からも高く評価された学生に授与される「学長賞」があり、1年次生も推薦対象になっている。これは学業成績だけでなく、学外での活躍(他大学が参加しているスピーチコンテストでの入賞や学術賞授賞、全国体育大会での入賞、国連学生団体などに選抜されての活躍など)をした学生が対象となるのだそう。バリー賞と同じく、2年次生は卒業式で、1年次生は新2年になった年の入学式で表彰されるとか。こういうことも目標にして、皆さんに励んでもらいたいものだ。

こういう賞の日本とアメリカでの呼び名の違いにちょこっと触れてみよう。

日本語で奨学金というと、経済的な理由で就学の困難な人のための金銭的援助、というイメージが強いけれど、アメリカでいうスカラーシップというと、むしろ賞やアウォードという意味合いのほうが普通かもしれない。親や当人が大金持ち(親の事業の一部を担って成功し、それこそ桁違いのお金を持っている子どももいる!)であろうと、はたまた学費に困っていようと、そういうことに関係なく、学業成績やスポーツの能力に応じて出してくれるのがスカラーシップのいちばん一般的な形のようだ。

大学や私立のハイスクールは、より優秀な学生を抱え込むためにこのスカラーシップを有効に使っている。ハイスクールでは、入学許可の書類送付にあたって、試験の成績のよかった生徒にはスカラーシップのオファーを同封したりする。大学ではスポーツのスカラーシップが多く、だから保護者も夢中になってフットボールやバスケットをさせたりしている。

これに対して学生の方は、学校そのものだけでなく、企業、個人、財団などなどにエッセイや成績、業績情報を送って申請し、スカラーシップを受け取ったりもする。基本的に、返さなくっていいものという認識。

なので、以前、夫婦ともに開業医で、閑静な住宅地に豪邸を構えるという家の男の子が、「OOハイスクールは3000ドルのスカラーシップをくれるっていうし、僕も結構気にいってるからそこに行くことに決めた」って言うのを聞いて、お金が大変でなくてももらえるんだ~ってビックリしたことがある。

ちなみに、在学中を通して授与が前提のものの場合、設けられた既定(たとえばGPA3.5以上)を下回ったら翌年度から打ち切りということになっている。前出の男子の場合は合計で3000ドル。4年で割るので、たとえば一年目は900ドル、二年目以降700ドルのようになるので、一年目ですでに成績が悪いと、900ドルもらって終わり。当たり前といえば当たり前であるけれど、そういう部分は大変に厳しい。

ちなみに、フットボールやバスケットなど、大学でのアスレチック・スカラーシップの場合も成績が大いに関係する。というのは、連盟の規定で、一定以上の成績が保てないと選手として出場できなくなるからだ。そういう場合には、成績をキープさせるため、専属のカウンセラーがつくだけでなく家庭教師もつく。チームとしては、高いお金を払って集めてきた選手を失うわけにはいかないからだ。

経済的な補助が必要な場合は、ファイナンシャルエイドや学生ローンを利用する。このファイナンシャルエイドというものには無償と有償があるので、現在の日本の奨学金に一番近いかなと。

申請にはタックスリターン(確定申告みたいなもの。基本的には収入のあるすべての人が提出。専業主婦の私も、主人とジョイントで申告しなければならない)のコピーを添付するだけでなく、収入、家族構成はもちろん、家賃や家のローン、クレジットカードの残高と月々返済最低額、車のローン、健康保険額と病院・薬局に支払った額、教育費、保育園費、受けている公的補助、貯蓄、投資信託、年金、退職金制度の積立額その他ありとあらゆる、その家族にまつわるお金の出入りを余すところなく申告し、最終決定は、エイドを出す側が、出すか出さないか、出すとすればいくらかを決める、という形が一般的のようだ。基金があり、その範囲内で、全体の申請状況にかんがみ、個人の状況に合わせて出すイメー ジかと思う。潤沢な資金があれば、それほど困っていなくてももらえるし、集中してしまえばさらに分散されてしまって十分にもらえないこともあるらしい。融通がきくというかテキトウ、大雑把というか、そういう感じは、日本の奨学金制度とは少し違うように思えるがどうだろう。

学生ローンは銀行や信用金庫からお金を借りるので、日本と同じようかな。詳しくはまだ調べていないのだけれど、ほかのローン(車のローン、自宅リモデルのローンなど)と違った部分があるようだ。それは日本でも同じだろうか。

その他にグラントというものがある。文字通り補助金、助成金で、スカラーシップのように無償でもらえるもののよう。

アイビーリーグなどは、学費は年間5万ドル(1ドル120円換算では600万円)をくだらないのだけれど、そうそうたる卒業生からの寄付などがあるからなのか、そのグラントが充実していて、その家庭の現状に合わせて補助してくれるそうだから、お金持ちは全くもらえないだろうけれど、一定額にいかない家庭には全額出るとか。

学びたい人を援助したいという気持ちが伝わる、そしてそこで学び社会に出て成功し、また後進にお返しをする、そういう仕組み、社会なのかなと思ったりする。

ジェラルド・バリー賞への寄付金は現在も受付中、そして資金が続く限り継続していくそうなので、お気持ちのある方、こちら「ジェラルド・バリー賞創設のご案内」をどうぞクリックなさってみてください~。

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