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「エッグドロップコンテスト」

エッグ、ドロップ、コンテスト・・・・なんだろう、それ?エッグは卵、ドロップは落とす、コンテストなのだから、卵を落とすコンテストらしいとは思うものの、どうしてそんなことするんだろう、もったいない!と思ったのは3年前。息子が8年生の時だ。

楊枝と木工用ボンドのみで作った入れ物の中に生卵を入れて、高さ5ⅿから落とし、割れなかったらエクストラクレジット(特別加点)がもらえるという、理科のクラスの実験イベント。参加は任意だが、参加するだけでもエキストラクレジットがもらえることもあり、娘も含め、大半の生徒が参加するという。

アナウンスは9月半ば、実施日は10月末だから、ひと月以上準備期間はあるものの、そこは子供、なかなかエンジンがかからないようで、頻繁に理科担任のホール先生(Mr.Hall)から発破をかけるメールが来る。

実施日が近づいてきたころ、親宛にボランティア募集のメールが届いた。写真を撮ってほしいというもの。3年前の息子の時にはスポットがすぐに埋まってしまったのだが、今回はまだあるようなので参加することにした。5クラスそれぞれを二日に分けるので、10のスポットがあるわけだ。

ふたを開けてみると、私がサインナップしたところはなんと私だけ。あらあら・・・お手伝いできてよかったわ~。多いところは5人のママ。賑やかだろう。パパの参加も数名あるところが、日本とちょっと違うかな?

キンダーなど低学年のころは毎時間ごとにボランティアが必要なほどで、またこの地域は教育熱心だから、いつも取り合いで参加しているような感じだったことを懐かしく思い出す。

ところがおなじ国でも、以前住んだテネシーの田舎町では教育にあまり関心がなく、スーザンと私の二人だけしかボランティアをしようとしない。遠足やパーティという「お楽しみだけ」でさえほかに数名のママが参加する程度・・・。このクラスは一学年10クラスずつあるこの小学校で唯一の、複数学年合同クラスだったので、クラスに一学年約20人ずつ、合計約60人の生徒がいたのにだ。ちなみに、キンダーでも読み書きのよくできる子たちは二年生相当のクラスで学んでいたし、ちょっと苦手な子は下のクラスで一緒にするという格好、つまり学力別で授業を行っていたのだった。そういえば、 このスーザン一家は教育熱心で、途中でオークリッジという、戦時中は原爆の開発をしていた、教育水準の高いところに引っ越した。ところ変われば・・・で、同じミシガンでもデトロイトはまた違うかなとも思う。


理科の教室の様子。ここは普通以上に賑やかだとは思うが、キンダーなどはどこもこんなノリ。クラス内の掲示物なども基本的にはその教員の自腹。なので学年はじめや途中で寄付のお願いがよく来る。多くはティッシュや除菌用ジェルだが、「鉛筆を一万本」みたいなのもあった。生徒がどんどん持っていってなくなるからということだが、ものを大事にしないと感じるからこれには積極的には協力したくないなあと思うわけだ。ちなみに娘が2年生だったとき、ボランティアに行ったついでに鉛筆全部に担任の先生の名前を付けてみたが、翌週行ったときにはほとんどなくなっていた。

話をもどそう。娘は三角錐の下にスプリング代わりのものをつけて衝撃を緩和するということを考え、私の髪のカーラーの内側に、湯につけて柔らかくなった楊枝を差し込んで乾かし、曲線をだし作っていた。

ちなみに3年前、息子はサッカーボールを使って丸い籠のようなものをつくり、その中心に卵の入った箱を入れるという形にし、どこで落ちてもそこが凹んで衝撃を吸収して、中の卵は無事となるという筋書きで見事成功。惜しくも重さで一位は逃したが、歴代では一位の子とともにいい位置につけられたと嬉しい報告を受けたものだった。

実験は、学校に上がる坂の途中で行われるために、落ちた先が斜めで、ランディングが平らにならなかったせいか、娘のものは惜しくも割れちゃったけれど、担任の先生曰く「今まで14年やった中で、そんな発想をした生徒は初めてだ」ということで、エキストラクレジットをゲット。初心を貫いてよかったね、というところ。写真は、潰れた娘のものと今回ただ一人割れなかった生徒アダム君。中心の箱部分には楊枝を細かくおがくずのようにして詰め大成功!!


学年が上がると段々に不要になってくるので、今回は久しぶりのボランティア。
キンダーのころから知っている子たちが何人かいたが、わざわざ寄ってきてハグしてくれる子もいた。日本だったら目があったってきまり悪そうに避けられちゃうかも、口も利かないんじゃないかななんて思ったりしたがどんなものだろう。

食べ物を無駄にしてしまうということに抵抗があったとも書いた。それは今でも同じ気持ちではあるが、同時に、安価で誰にも容易に手に入る上、これほどまでに完璧な創造物。代わりになるものっていったらなんだろう。みんなの役に立って卵も喜んでくれているって思いたい。卵って何てすごいんでしょう?

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