ホーム 同窓生だより ミシガン便り

ミシガン便り

「ハイスクールスポーツ Part 1」

日本ではまだ中学3年になったばかりの息子も、アメリカでは去年の9月からハイスクールのフレッシュマン。おかげさまでイエズス会の学校に入れてもらい、勉強にスポーツに充実した毎日を送っている。そこで今回は、ハイスクールのスポーツについて少し書いてみようと思い立った。

ご存知のようにアメリカのスポーツはシーズン制で、季節ごとに種目が変わる。入部すると通年で練習・試合に明け暮れる日本とは違って、シーズンごとに別の種目で活躍する選手も少なくない。これは社会体育が主なミドルスクールまででもそうなのだが、学校体育がメインとなるハイスクールではよりはっきりする。

9月に学校が始まってすぐにスタートするのがフットボール、テニス、サッカー、クロスカントリーなど秋のスポーツ。

話は逸れるが、息子の友だちのイスラム教徒の子(パキスタン系アメリカ人)が、去年の秋、フットボールのチームに入った。ところがちょうどその時期がイスラム暦のラマダン(断食月)にあたっていて、どうもたいへんにしんどかったらしい。早起きして日の出前に食べられるだけ食べ、後は練習が終わって日が沈むまで水も飲めない。ご飯が何不自由なく食べられることに感謝する気持ちは、間違いなく養われることだろう。

学校中が盛り上がるフットボールのシーズンが終わると冬。バスケットやアイスホッケーが人気だ。そしてミシガンの場合、長い長い冬が終わってようやく春が来ると、我が家の息子の待ちに待った野球シーズンの到来。ほかにラクロス、ゴルフ、トラックなどもある。

こんな風だから、フットボールが終わったらバスケット、その次は野球、といった調子で、一年中出ずっぱりの子も珍しくはない。「大学からフットボールと野球のスカラーシップの話が来ていて、どっちで行くか悩んでいる」なんていう贅沢な子もいる。

もう一つ、日本と大きく違うのは、入部テストがあるということだろうか。スポーツ・チームは試合をするところなので、試合に出せないほどの人数を抱えることはない。だから定員を決めてトライアウトを行い、コーチの選んだ選手だけがチームに入れてもらえる。落ちたら入部もできないが、逆に入部した選手が卒業までベンチ入りできないなんてこともない。トライアウト合格がすなわちベンチ入りということなのだ。

ご存知のようにアメリカのハイスクールは4年制。9年生がFreshman、10年生がSophomore、11年生がJunior、12年生がSenior。この4学年がプレイするために各学校には三つずつのチームがある。

学校を代表して試合をするベストチームがVarsity、主に10年生までで構成するセカンドチームがJunior Varsity(通称JV)、そして9年生だけで作るチームがFreshman。

ハイスクールに入ったばかりの9年生と大学からお呼びのかかるような12年生とが一緒に競技をするのはとっても危険。特にフットボールなどのコンタクトスポーツでは、命の危険さえある。だけど、だからといってずっと見学・応援ばかりだと上手にはならないから、別のチームを作って試合をする、という考え方があるのだと思う。

Freshmanは文字通りFreshmanだけで構成されるから、人数の足りない学校ではみんなJVに上げてしまってFreshmanチームはなし、というケースもあるらしい。反対に大規模校や野球の強い私立学校は有望選手がたくさんいるから全チーム揃い、はじき出されて入部できない子も出るというわけだ。ただし入部した子はできるだけ試合に出し、育成を進めていく。

JVはSophomoreかFreshmanがメインだが、Juniorが入ることもある。SeniorはJVには入れないきまりだそうで、SeniorになってもVarsityに入れなければ、そのスポーツを継続することができない。JVも育成中心だが、Freshmanよりはややシビアに実力主義になっているのが一般的。

Varsityは学校代表のチームだから育成よりも勝利。SeniorからFreshmanまで、とにかくいい選手を集めて強いチームにする。もちろん試合で使うつもりのない選手はトライアウトでカットしてしまうから、まったく出ない子はいないが、基本的には常にベストメンバーで試合に臨む。

スポーツにもよるが、このVarsityの試合は学校全体で応援する一大行事となったりする。フットボールの試合は金曜日と決まっていて毎週かなりの集客があるが、ホームカミング・ゲームともなると超満員で大いに盛り上がる。

アメリカの学校の愛校心は非常に強く、特にライバル校との対校戦にはたくさんの応援が駆けつける。在校生や選手の家族はもとより、教職員や卒業生、地域の人にいたるまでスクールカラーを身にまとって詰めかけ、いやがうえにもボルテージは高まる。

去年の暮れごろか、息子が友だちといっしょにバスケットの試合の応援に行ってきた。上から下までスクールカラーのマルーン(エンジ)に身を包み、観客席で足を踏み鳴らしながら応援する。「相手の選手が紹介されるでしょ。番号言って、名前言って。そしたらさ、みんなでWho cares?って叫ぶんだよ。」と興奮して語ってくれた。同学年にすごい選手がいるらしく、その子が活躍するたびに「He's a freshman! He's a freshman!」と声を揃えて相手を挑発するのも楽しかったようだ。

つい先日息子が出場したのはカトリック・リーグの準決勝。これに勝てばコメリカ・パーク(デトロイト・タイガーズの本拠地)で行われる決勝に出場できるという大一番だ。こちら側はズラッとマルーン、向こう側は見渡すかぎり青、青、青。普段から自分の着る服にいっさい頓着しない夫は仕事場から赤いウィンドブレーカーを着て駆けつけたが、これがまかり間違って青だったりしたら、周囲から白い目で見られていたところだ。

そんな風だからハイスクールではスピリットウェアの販売が定期的にあり、学校名の入った衣類を身につけている生徒はかなり多い。息子の学校には常設の売店があって、Tシャツ、パーカー、スエットパンツ、帽子などは当たり前、ネクタイ、ベルト、車につけるステッカーから、ボールペン、傘、エプロン、キッチンのミトンまで売っている。売店の中がマルーンだらけで、赤ちゃん用の衣類まで置いてあるのには驚いてしまった。

続く

このページの先頭へ