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ミシガン便り

「Senior prom」

「うちの息子、今日、シニア・プロムに行ってるんだよ。」
教師をしている夫が、教室で高校生(日本人)たちに話をしたらしい。
「え~、だって先生の息子さんって、また高校生じゃないでしょ~」
「8年生だよ」
「え~、うそ~」「すご~い!」

ご存知の通り、シニア・プロムというのはハイスクールを卒業するときに開催されるオールナイトのダンス・パーティ。

アメリカの高校はほとんどが4年制で、9年生がFreshman、10年生がSophomore、11年生がJuniorで12年生がSenior。

そのシニアのプロムだからシニア・プロム。アメリカでは結婚式に次ぐ一世一代のイベントのようで、大きな会場でオールナイト、男の子はガールフレンドを、女の子はボーイフレンドを誘って、ドレスアップして参加をする。前に書いたホームカミングデーよりもずっと重大(!)なイベントだ。

当然、お酒やマリファナ、その他もろもろのよくない噂も聞こえてくる。親も警備に参加。朝4時5時に迎えに行くらしい・・・。

「中学生なのに、高校を卒業するガールフレンドがいるの?」
ということで、夫の生徒たちが色めき立ったわけ。

種明かしをすると、同じシニアでも違うシニア(笑)。

みなさんはとうにご案内のことと思うが、Seniorというのは大学や高校の最上級生だったり、会社や役所の重役だったり、軍隊では高級将校、息子の野球リーグ(14歳以下)もシニア・リーグだ(日本でも有名なリトル・リーグの上がジュニア、その上がシニアとなる)。

そして今回息子が参加のシニア・プロムは、シニアのオリジナルの意味、お年寄り、なのである(笑)。ガックリされた方もいるかしら?これは息子の中学の生徒会(Student Council)が地域のお年寄りのために毎年開催しているもので、生徒会 のメンバーである息子はホストの一人としてスーツを着てお飲み物やお食事をお出しする係り、つまりウエイターをしたという寸法。

というわけで、冒頭の「え~、うそ~」は、8年生の息子に「12年生の彼女がいてプロムに誘われたの?びっくり!」あるいは「すご~い、やるじゃん!!」という感じ。もちろんシニアがシニアとわかって爆笑。いつもながら家族(主に妻)をネタにして授業のウケをとる夫。

後ろに見えるのが生徒会メンバーと教職員。


学校のカフェテリアだから、新設の小学校ならいざ知らず、元は高校だったおんぼろ建物の中学校は新しくもおしゃれでもない(笑)が、窓に張ってあるものはみなで工夫したそうだ。中学生がそんなことをしているその姿を想像するといじらしい。

子供たちができることをボランティアでするということは、こちらでは結構ある。ガールスカウトも、クリスマスシーズンにはシニア・センター(老人ホーム)に行って歌を歌う。娘も参加した。
「海外で駐留している兵隊さんへ手紙を書く」というのもあったし、5年生の遠足のうち一回は、アフガニスタンに送る〇〇スープの穀類を量って袋詰めする作業だったりもする。水を入れて煮るだけで必要な栄養がとれ、おなかの回虫も駆除するというスープになるらしい。

特に娘の小学校には熱心な先生がいて、みんなの寄付で羊かヤギを買ってアフガンに送るということまでしている。ちゃんと育てれば増えていくし、仕事として成り立つということらしい。

プロムに戻ろう。

「どんな人が来るの?」
参加者はシニア・センターからだけでなく、ご近所の方、在校生のおじいちゃんおばあちゃんもいたそうだ。


写真にもちょっと写っているけれど、車椅子や手押しの歩行器持参の人もいた。

食事のメニューは一律で、サラダから始まってスパゲッティとチーズスティック(棒のように細長いパンの中にとろけるチーズが入っている)、バニラアイスクリームで、飲み物は水かレモネードかコーヒーだったそう・・。

音楽はジャズなどをメインにしたものだったらしい。


この動画は一番上手い人ということで息子が撮ってきた。手ブレで見づらいのはご容赦ください。(動画:http://youtu.be/SAHp_bxP5-o

「担当の先生に話して、写真撮影の許可はいただいたの?」
「うん。Absolutely.って言われたよ」

青春のまっただなかで、若く輝いているときのシニア・プロムと、人生の円熟期を迎えてからのシニア・プロム。わざわざ同じ言葉を使ってシャレたところがアメリカらしい。どちらもその根本にあるのは、Have Fun!ということだろうか。

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