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「野球のボールで編んだベスト」

息子の映画撮影で保護者として現場に詰めていた話を読んで頂いていると思う。最初は本を持っていったのだけれど、やっぱり「初めて目にするもの」ばかりの中、英語の本だったせいもあるのかなかなか集中できない(笑)。共演者のママたちともおしゃべりするし・・・。

でも、ただただおしゃべりして何か食べて一日を過ごすのはもったいないと思っていると、ふと、以前息子が破れたボールをほどいていったところ、中に毛糸らしきものを見つけたことを思い出した。「野球の映画をとっているのだから、その間に野球のボールの毛糸で何かを編むっていうのも乙だろう。」

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写真のように、表の皮をはがすと中には縫い糸くらいの細い白い糸。それの下にはタコ糸よりちょっと細い感じの、でもしっかりした糸。その下に、お目当てのウールらしき毛糸。でもボールの品質によって中身が違うのだ。市販のボールは皮も合皮で中がコルクのことが多いように思う。

ラッキーにもうちの子はプロの使っているボールで練習してきている。これは市販のものに比べて皮が丈夫で変形もしない。まあ、時々夫が拭いてクリームを塗って干していたが、この120球、かれこれ5年、頻繁に使っていて、最低でもどの球も3000回は打たれているだろう。丈夫なものだ。ちなみにこのボール全部、試合に応援に行った際に選手からもらった、もしくはフライやホームランや、練習中に外野席に飛んだボールなどを集めたもの。時間のあるときはいつどこでもらったとか、誰がくれたと書いておいたので、これはこれで球拾いの際、夫は楽しんでいるようだ。なので、逆に、「これ、もう擦り切れているから毛糸にしていい?」と聞いても、「これはWilliamにもらったボールじゃないか。まだ使える。」ってバケツに戻されてしまったことがある(笑)。

現場での編み物はかなりたくさんの人にインパクトがあったみたいで、編んでいると、横にいるママたちが、「ねえ、この糸、野球のボールなのよ~、知ってた?」って次から次にスタッフさんに説明してくれる。「僕のサイズは2Lだよ」って冗談を言いながら機材を運んでいくスタッフもいた。その人は翌週、「僕のはいつできるかな。」って言いながら通っていった(笑)。

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結局、夫、父に作り、義父の分が途中で毛糸がなくなって中断中。写真は夫のもの。あまりいい材質ではないから肌触りといえばよろしくないが、なんといっても「息子の涙と汗の結晶」だったりもするし、外が冷凍庫のミシガンの家の中はセントラルヒーティングでセーターまではいらず、ベストが活躍する。

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