ホーム 上智短大生の進路決定状況
経済不況のため、ここ数年の大学新卒者の就職状況は「氷河期」と呼ばれる厳しい状態です。では、本学学生の進路決定状況はどうなのでしょうか。結論から言うと、がんばっている学生は、従来と変わらず、あるいはそれ以上の成果を得ています。地方にある英語科の単科短大としては珍しいことで、私たちは本学の学生たちを誇りに思っています。
就職についてのかつてのイメージは、有名四大の法・経済学部や理工学部が強く、女性より男性が有利というものでした。先日も朝日新聞に、東大や慶応の学生は選考手順の一部をスキップして優先的に扱われるうえに、同じ大学の先輩社員がリクルーターとして面接指導まで行うという記事が掲載され、最初からチャンスがないんだとがっくりきた学生や親御さんもいるでしょう。確かに、今も昔も、一部上場の大企業ほどひとにぎりの有名大学出身者から社員を採用する傾向はあります。しかし、世の中にある企業総数のなかでいわゆる大企業はわずかに1%、99%は中小企業であり、こうした企業はむしろ学生個人の実力を重視していて、女性が活躍している企業、女性が働きやすい企業もこの中にどんどん増えてきています。
そういう優良企業にどうしたら就職できるのでしょうか。
幸い、人気企業が本学秦野キャンパスまではるばる足を運んで下さり、企業説明会を開催しています。この春も13の企業・団体の人事の方が秦野キャンパスに来られましたし、これからも2社が4月に来て下さる予定です。これらの企業は、重工業やパソコンおよび周辺機器メーカー、自動車メーカー、製薬会社など文字通りの大企業が大半です。本学卒業生の方々のご活躍のおかげで、本学学生に対する企業評価は高く、有名4年制大学でも就職が難しい企業への採用も一定数をキープしています。
また、規模に関係なく業界では知られた優良企業からも説明会にきて下さっています。卒業生社員が同行するケースもあり、短大卒は一般職だが入社後数年で総合職に転換した本学卒業生もいますよ、と教えていただくと学生たちの目が輝きはじめ、セミナー終了後も先輩や人事担当の方を囲み、手帳片手の質問が絶えません。
地方出身の学生のための住宅手当や、育児休暇などの子育て支援を掲げる企業も増えてきました。複数のお子さんを育てながら働き続けることも可能ですとの説明があり、具体的な育児休暇取得率や女性の管理職の割合をあげてアピールする企業が増えているのは、少子化のなかで優秀な女性を戦力として確保しなければと考えているからでしょう。
企業の規模を問わず女性が働きやすい優良企業は、社員が定年前に辞めないので募集人数も限られ、競争率が高いので大変ですが、そうした企業からTOEIC600点以上の学生がいたらぜひ紹介してください、という求人も本学に寄せられています。本学でまじめに勉強し、積極的に英語を使ってTOEICを伸ばせば、就職も有利になるのです。
学生に必要なのは、働きたい、という強い意欲だけです。
就活支援のため、履歴書・自己PRの書き方や面接の指導のほか、教職員の個別相談を行っています。教職員を頼り、相談し、文字通り「使い倒した」学生がより先に内定を得ていますから、学生がどんどん相談してくれることが私たちには喜びなのです。
2012年2月現在の就職内定率は80%、活動中の学生もいますので数値はこれから上がる見込みです。企業との相性や勤務地の問題もありますから100%希望通りというわけにはいきませんが、四年制大学にひけをとらない成果を学生たちは得ています。
編入も同じです。上智大へは特別編入と一般編入あわせて34名が合格しました。ほかに、お茶の水女子大、奈良女子大、埼玉大、千葉大、中央大、津田塾大、東京女子大、関西学院大、同志社大、同志社女子大、立教大、明治大、法政大などに今年も合格がでており、分野も言語・コミュニケーション、文学、教育、社会、神学、法学、経済、経営、国際関係、社会福祉など多岐に渡っています。
編入を目指す学生たちは、夏休み中も平日は朝から夜まで、研究棟2階の学習支援室で教員の指導のもと勉強しており、高野学科長先生自らも毎日のようにご指導に当たって下さっています。上智大から非常勤として教えに来られている先生方も多大な時間を割いて指導を行って下さり、他の短大のように編入予備校に通う必要もありません。英語力を身につけ、編入学準備のための学内講座を活用し、教員の指導を受けてがんばると、必ず成果があがります。
一つだけ問題があるとすれば、進路選択にうまく取り組めない学生もわずかながらいるという点です。
将来のキャリア・パスやライフ・プランをうまくイメージできず、ネットなどの噂やイメージに振り回されて、本学からの採用実績のない企業や職種ばかり受けたり、あるいは気楽に考えすぎて準備が十分でないまま編入試験の時期を迎えてあわてるケースがあります。就職も編入も、理想通りとばかりはいかないもので、決まるまでは本当につらく時には理不尽に泣くせつない思いをしなければなりません。これに向き合う覚悟をいつどうやって決めるかなのです。
就職担当者や教員に相談にいくとみっちり時間をとって指導され、いやでも現実と直面することになります。そこではできていると思っていたことができていない自分や、やるべきことをしてこなかった事実とも向かい合わなければなりません。少子化とネット化社会のためか、面と向かって自分の欠点を指摘されたことがない学生にとっては、個人指導そのものが大変な関門となります。でも、泣きながらでも一度経験してしまえばするすると次のステップへ進み、最終的には内定を得たり、しかるべき大学に編入合格する学生が多いのです。きちんと取り組めば驚くほど伸びるのが本学学生の特徴ですから、彼女たちをいかに早い段階で自分と向かい合わせるかが私たち教職員の今後の課題となっています。
そんな学生にとって、同窓会寄付講座「キャリア・プランニング」で現在社会の多方面でご活躍中の先輩のお話をうかがうのは、大きな助けとなります。十年単位で先のことを考えるのは経験の少ない学生には難しいのですが、同窓生の皆さんがよき手本となって下さいます。また授業後の質疑応答のなかで、にこやかに、でも大変重い指摘を下さる先輩もいて、ここで目が覚める学生もいます。
講師を担当下さっている同窓生のみなさまには深く御礼申し上げます。
ともあれ、大学での勉強に加えて、児童英語ボランティアや地域の外国籍児童・市民の方への日本語・教育支援ボランティア、多彩なサークル活動、アルバイトなどで忙しいけれど充実した学生生活を送る学生、教職員を頼りどんどん自分から夢の実現にむけて動く学生は、就職・編入ともに良好な進路を得ている、それが現在の本学の状況です。
しかし、就職については今後厳しさを増すであろうことも確かです。採用に関する情報をお持ちの同窓生は、ぜひとも短大事務センターの就職担当までご一報いただけるとありがたく存じます。
どうぞよろしくお願いします。
以上、進路に関する現状をご報告いたしました。
2011年度上智短大進路指導委員長 森下 園(10期生)